D.C. 二次創作

存在と記憶の先に



第一話 『好きになっちゃダメですか?〜方程式では解けない思い〜』









これは…いつもの夢か…

誰の夢だ…?



うん…?あれは…俺の、ばあちゃん?



『魔法なんて私はほかの方法がかったるいから使っているだけで、ほかの方法をやれるなら必要ないんだよ。』



当時の俺は、ただ、ばあちゃんの言うことを良い意味でも悪い意味でも素直に聞く性格だったなぁ…

それを聞いたためか、ばあちゃんからは和菓子を出す魔法以外聞かなかったもんなぁ…



にしても、この夢は何なんだ?

誰かの夢にしては…なんで俺のばあちゃんが…



『とにかく……“今度ばかりは”私も助けられないよ。だから、あなたはただ自分が思うように行動しなさい。』



ばあちゃんはそう言うと多くの桜…

一年中咲くのはきれいだが、不気味にも見える…そんな桜の木々の中に消えていった…



どちらにせよ、これはいったい誰の……

そう思った矢先だった。



チリーン……チリーン……



鈴の音…?



その音に引き戻されるかのように夢は薄く消え始めた…












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朝倉家 朝



うぅぅ…な、なんなんだ…この腹に感じる硬く重い感触は…

この、単なる質量だけではなくて動きを抑えるような…



「うぅぅ…」



「おはよう♪兄さん、目覚めた?」





おお、音夢か…って、なぜにこんなにたくさんの本が…

うぉっ!た、倒れてくる〜〜



「音夢ぅっ!?」



ドスンッ!



お、俺の顔に全世界歴史全集ヨーロッパ編1がクリティカルにヒットしやがった…

無駄に硬い材質と重さでは広辞苑なんて目じゃないが…当てられる俺…朝倉純一としては相当堪える(汗)




「心からの殺意をどうもありがとう…そんな風に思うのは俺の幻か?」



「今日は三年生に上がって最初の授業ですよ。やっぱり遅刻したくはないでしょう?」



俺の主張を無視して話を進めるこいつは朝倉音夢。

俺の妹でもあり、親が会社の出張でほとんどいない朝倉家にとってはある意味、男の俺よりよっぽど必要不可欠な存在だろう。



もっとも、病気がちな癖して、意外とこういうことをする奴でもあるが…





「人が寝ているところに多数の本を載せておいて、そういうか普通?」



「とにかく、早く支度してね。」



俺がおきたからいいのか、音夢は早々に部屋を出ようとする…

こう、何度も押され続けというのも問題だな…ここは…あの手だな。



そう決めると、顔に倒れたままの本を振り落とす。





「待て、音夢。朝の日課がまだだ。」



そう言うと著しく動揺する音夢。まったく、このごろしていなかったとはいえ、こいつはそういうことには反応機敏だな。



「えっ!?い、いいよ…今日は十分元気だし…」



「つべこべ言わず、さっさと済ますっ!」



強めに俺が言うと、さすがの音夢も不満そうだが…まあ、納得したのか、それともほかの理由かこっちに戻ってくる。



『いつもの日課』と言いつつもこの頃していないところで『いつもの日課』とは言わないのかもしれないが…

まぁ、春休みで昼ごろに起きていた俺ができなかったところが大だ。





「いいか……」



「うん……」





爪先立ちをする音夢…傍から見ればキスシーンに見えなくもないが…

と音夢の頭を手で押さえると…



ドスンッ♪



「いたたぁぁ…」



「1.2.3.4.5…うん。いつもどおりの微熱かな?」



病気がちだけあって、こいつはよく熱を出す。

そのくせ、心配させたくないのか倒れるまで絶対に言うことはない。

そんなわけで朝倉家の朝は『音夢の体温を頭突きで調べる』のが定例となっている。





「ううぅぅ…どうしていつも頭突きになるの?!」



「熱を測るためにほかにどうしろと…なんだ、それ以外の方法があるのか?」



「ねぇ、これ体温計にしようよ?」



「測った体温。ごまかす癖が直ったらな。」



こいつは、さっきも言ったとおりに熱があっても倒れるまで言わない。

さらには、倒れそうで熱があっても、決して言うことはない。

ったく…そういうわけで、とってもかったるいのだが…



「おお、それとも俺が最初から最後まで体温計をお前の脇のいれるところから…」



「ああっっ!!そんなことするぐらいなら今までのでいいよ〜〜!!とにかく、ちゃんと五分で支度してきてねっ!!」



…いきなり走って逃げる音夢…平和だな…同時にものすごくかったるいが…

ともわれ、今日も変わるはずのないと思っていた一日…この一日が後に大きな意味と自分の人生を左右するかもしれないほど…



それほどのものになるとは知らずに…俺はかったるそうに支度を始めたのだった。








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音夢の手作りではない朝ご飯を食べて…

手作りの日には、いくら速く起きても遅刻だからな…なんともちょうどいい時間帯には家から出た

俺と音夢は家から学園に続く、桜公園の並木道へ差し掛かっていた。



この初音島の桜は変わっていて、一年中咲いている。

そのためか桜の木を専門に研究する研究所に始まって、桜の木で観光名所にもなっているのだが…



見ているこっちからすれば、やっぱり変わっていると感じさせられるときが多くある。



「にしても、一年中咲いている桜っていうのも変わっているよな。ガキの頃からそれが当たり前だったから

不思議には感じないけど、やっぱり変なんだろうなぁ…」



咲いている桜は、こうやって見ていると綺麗で、違和感も感じないが、実際に桜は春にしか咲かなくて…

それが一年中ともなると、不思議どころか不気味とも言えるのかもしれないな…そう思ったがどうも音夢は違う考えのようだった。





「ふふっ。私は好きだけどなぁ…綺麗で。」



「そういう桜は『奪いとること』の象徴だからなぁ…」



「えっ?」



あまりにも猪突な発言だったか?俺の発言とは思ったが、まあ大体はそうだろうなぁ…



俺も昔ばあちゃんに聞いた話でしかないが…音夢は、ばあちゃんはあまり好きじゃないからなぁ…

ばあちゃんから聞いたことは伏せて話してやるか。





「春の木の代名詞といえば桜だよな?」



「えっ?そ、それはそうだよ。本土でも桜前線を天気予報にやっているもん。」





何を当たり前なことを聞くのかと変な兄さん的な視線で見られる…とさすがに厳しいな。




「昔はそうじゃなかったんだよ。昔、春の代名詞と言えば『梅』だったからな。

古典の授業等でやっただろう?昔の人の春の風流と言えば最初に『梅』なんだよなぁ…

それから、代名詞が桜に変わったのは、ある意味で梅から春の代名詞を奪い取ったとも言えるだろう?」



まあ、昔、ばあちゃんから聞いたことをちょっと変えて言ってやったが…そう言われると

梅どころか、夏、秋、冬からですら季節の花を無視して咲き乱れる桜の木というのも変なのかもな…



「ふぅ〜〜ん…勉強がかったるいって言っている兄さんにしては珍しい知識だね?」



「悪かったな、かっるたくて。」



「でも兄さんからかったるいを取ったら兄さんらしくないし。そうかぁ…

『奪い』の象徴かぁ…そう言われると、なんか一年中咲いている桜が不気味に見えるじゃないっ!」



そういわれてもなぁ…って、いきなり音夢は走り出すし…



「とにかく、急ごう♪兄さん。」



「ああ、わかった。わかったからそう急かせるな…ったく、かったるいなぁ…」








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全力で走る俺と音夢。

別に好きで走っているわけじゃない。時間帯は十分大丈夫だったはずだ…なのに…





「おい、人がぜんぜん歩いていないぞっ!」





桜公園の桜並木は風見学園正門に繋がる道の一つで、バス停が桜公園の近くにあるために一番学生も多く通る場所だ…

なのにだ…誰一人として歩いていない…今日はいつもより早く登校するとかじゃないよな?



「一応、ちゃんと余裕を持って家は出たんだけど…あっ、本校の生徒さんっ!」



「あれは…すでにあきらめているっていうパターンじゃないのか?」



全力で走っている俺たちに比べて、前にいる本校の人はあまりにもゆっくりとした歩みだった…

なんか、ちゃんと登校する気はすでに捨てているって感じだな…



と走っているだけあって、すぐにすれ違いざまになる。

と横にいた生徒さんは…なんか木琴叩いて寝ているし…なんとも器用な方だ…





と走ってきたのはいいのだが…



「はぁ………?」



学園昇降口前の壁に貼られた紙…『クラス一覧表』というべきものがちゃんと張ってあった…

か、かったるい…わざわざ走ってきてこれかぁ…だいたい、前日に悪友こと杉並の奴が同じ縮小版を届けに来たぞ…



ま、あいつがなんでそんなものを持っているかというと…深く聞いてはいけないような気がしたから聞かなかったが…



「あれを見るためにみんな急いできていたんですね。」



と適当に見終わっている俺はどうせ音夢と同じ教室なのだからと適当にスルーしようとしたのだが…

例に漏れず、匂いを嗅いだらしい『わんこ』に察知されたようだ。



「音夢先ぱぁ〜〜〜〜〜〜いっ♪」



「おはようぉっっ!ってうぅぅ〜〜」



まるで尻尾を振るわんこのように、いきなり音夢に抱きつく『わんこ』こと天枷美春。

いや、実際にやっていることも性格も『わんこ』と証するに等しいのかもしれない。



「尻尾を振るわんこかお前は。」



「あっ、朝倉先輩おはようございます。」



「とってつけたように言うな。」



いや、実際にこいつは音夢大好きな人間だからな、俺がいたことすら殆ど気づいていなかったのだろう。

だが、一応は否定するようで…



「とってつけたなんてひどいですよ〜〜美春は先輩のことも大大大切に思っていますよ。

でも、それを押してあまりあるほどに音夢先輩ラブなのです〜〜ラブラブ〜〜〜♪」



「はっ、離しなさい!〜〜美春ぅ〜〜」



「はいぃ〜〜♪」



そういう一人のことに集中していた忘れていた奴につけることを『とってつけたように』というと思うが…

やっぱりこやつはわんこだな…微妙につぶやきながらそう再確認させる瞬間だったな。





「あっ、グットニュースです。お二人とも同じ教室ですよ?」



「ああ、それは知っている…あのバカな悪友から…」



「朝倉兄弟。朝から御盛んだな。」





出てきた…俺の最大の悪友こと杉並。こやつが持ってくる情報は真実は最悪のデタラメかどちらかだ。

そして、いつの間にかこいつは人の近くに存在する…恐ろしい奴だな。



「杉並…言葉の選び方が壊滅的に間違っているぞ。」



「ふっ。俺は本質を見て考察をしてから物事を言うのだよ…」



そういや、あの時渡されたのは俺と音夢と同じ教室だけだったな…まさかぁ…



「まさか、お前とも同じ教室だなんていうんじゃないだろうな?」





そう言うと同時に人の方を持つ杉並…





「一緒かぁ…」



「ふっ、ところで朝倉よ。すばらしい企画があるのだが、お前も参加せんか?」



「お前の場合、くだらない企画しかしないだろうが。」



実際にこの風見学園に入って以来、こいつのすることはすべてとんでもないことか、くだらないことしかなかったからな。



「『白河ことりが卒業までに何人に告白されるか?』というすばらしいクイズ大会だ。」



まじめな顔でそういうことを言う杉並…こいつの無駄に対する情熱はいったいどれほどなのか…

音夢と美春まで興味心で見ていやがるし…



「杉並…それでその賭けはいったい何なんだ?」



「何を言うか朝倉よ。これはれっきとしたクイズ大会だ。無論、正解者には豪華商品が進呈される。」



「配当の間違いだろうが。」



こいつは何でも利益を出すことにはうまいからなぁ…実際のところ白河ことりが逆に告白するというケースとか

意外と考慮に入れてすべての利益を我が物にしようとたくらんでいるやも知れん…



「おっと、噂をすれば高嶺の花の登場だ。」



なんとも時間合わせでもしたかのように、ちょうど目の前の玄関へと向かう白河ことり…

確かに学園一のアイドルって感じだなぁ…っと、いかんいかん。



「さすがは学園一のアイドル。花がありますね…」



「俺たちには縁がないだろうけどなぁ…」



「なんだか寂しそうですね。兄さん。」



「ふっ。ああゆう綺麗な花にこそ、思わぬ裏と言うものがあるのだ…まあ、彼女の場合はそれを見せない完璧があるがな。」



音夢の言うことは半分裏音夢状態に見えるし、杉並の言っていることはさっぱりだな…

ともわれ、こいつと音夢と…一緒のクラスかぁ…

なんか波乱の予感だな…

 


 

 

『再び』なんて、俺はあまり信じない方だ。

まったく同じことなんてあるはずもなく。また、あってもちょっとかったるい。


同じなんて言わずに、違うからこそ大切なのだと思う。同じ場所に戻れるとか、なんか悲しい気がしないか?


ずっと同じと言う初音島は俺にとってかったるいに他ならない。

なんか『永遠に変わらない』って言っている感じがしていた。

その日から、大きな変化が起きるなど知る由も無く…俺は学校の中へと入っていっていたから…







風見学園 一階廊下



杉並疑惑

『転校生が二人なのだよ。二人。風見学園始まって以来の同時転校生なのだ。』

らしいが、こいつの言うことはすべてにおいてかったりぃな…



とにかくこいつがいるだけでなんかすごい人数いるような気がしてならない。

音夢も半分呆れ顔だ。まあわからないで無いが…こいつが言うことはデマか真実という掟は音夢も知っているからな。



「あっ、音夢。朝倉。それに…なにやってんのよ、杉並。あんたを追って中央委員会が走っていたわよ?」



「ふっ。さすがに中央委員会と職員室にしかなかった今日の転校生の情報を盗んだとなると…うるさいか。

では、朝倉、そして朝倉妹よっ!ここはいったんさらばだっ!!」



そう言うとあいつは何を考えているのか屋上の方へと向かって行き、それから数秒もたたないうちに

中央委員会の先輩たちが杉並を追いかけていった…あいつ、いったい何がしたいのやらさっぱりだな…




「でも、転校生ってそうなると本当だったんですね。兄さん。」


「ああ、そういやそういうことなるなぁ…にしても二人かぁ…眞子。そういやお前は知ってるか?」




「えっ?私?そうね…先生たちが色々と騒いでいたのは事実よ。さっき職員室に言ったときに色々と言っていたから。

ただ、その子たちは既に教室にいるらしいわよ?」



まあ、かったるい俺としては行く気もしないな。どうせ転校生なんて早々…




「ちなみに両方とも女の子らしいけど。」



「さて、見に行くか。音夢よ。」



「兄さん…兄さんって人は……」




と執念の怒りとでも、魂の迸りとも言うべきほどの業火がまるで俺に向かって今にも向かってきそうな圧力を俺を襲った。

こ、怖いな…純粋に。



「どっちにしてもクラスが一人は隣。一人は同じクラスよ?どっちにしても会っちゃうんじゃない?」



眞子にそう言われると…確かにそうだ。何も急ぐことは無いな。

にしても、新学期早々二人の転校生とは確かに杉並が騒ぐだけはあるな。



と俺たちが付属三年生の階まで上がると…既に俺たちの教室…眞子も同じらしい…隣の教室には人が集まりかけていた。


おいおい…しかも大半が男子とか、なんか下心丸見えだな…



「兄さんもそういう意味では同じだと思いますけど。」



「うっ…よく俺の心の声がわかったな。音夢よ。」



「いったい兄さんの妹何年やっていると思うんですか。それぐらいはお見通しです。」



なんか、妹に俺の考えていることがすべてばれているって相当いやなのだが…まあ、どっちにしてもこれだけの人だと入るのにも苦労するなぁ…



「あっ、兄さん。隣の教室の方の人たちが…」



「うん?」




ドアから離れている?

まあ、あの奴らの目的が転校生なら…彼女がドアの方に向かっているってことか…

と、ドアを開けて出てきたのは…えっ……




金髪の髪、独特の瞳……



「さ、さくら……?」



「さ、さくらちゃん……」



そう。そうだ。あれは間違えない。

あれは俺のうちの隣に住んでいた、俺の従姉弟のさくらじゃねぇか…

だが、問題はそういうわけじゃなく…音夢も呆然となっているのはむしろ…あいつの容姿だ。

最後に別れてから、あれじゃ殆ど成長していないってことになるほど小さい。とてつもなく小さいぞ。おい。



「あっ…お兄ちゃんと…音夢ちゃん…」




あいつの性格ならきっと何かしら暴走するとか思ったのだが、予想に反してそれは無かった。

こいつは本当にさくらなのだろうか?妹と言われたほうがしっくりくるが…




いや、あれはさくらだ。間違えない…それはあいつの顔を見てそう確信した。

今のちょっと悲しそうな顔は…かつて、あいつが魔法使いだからこそ辛かった頃の顔に似ている…

正確にはもっと違うのかもしれない。もっと今のさくらの顔は大人びていた…殻と中身が合わないかたつむりのように…




俺はかたつむりの殻換えなんて見たことも無いし、そんな比喩があっているか正直自信は無いが。



だが、この空気は思いっきり悪い。転校生と知り合いというのはまあ良い…だが、この空気だと俺が思いっきり悪役だ。

いや、第一にさくらが何でそんな顔をする?

理由を考えろ、朝倉純一…

と脳細胞をフル回転させてもいい理由が見当たらないな…どういう…と思った瞬間だった。




「お兄ちゃん…音夢ちゃん…ただいま…えへぇ♪」



「さくらよ…いきなり抱き付くか?普通?」



「いやいや、なんとなくだよ。うん。」




…やっぱり単なる考えすぎだったか。

こいつに限って、暗くなることなんてめったに無いからな。

と俺から離れると、今度は音夢と話し始める。こいつら、昔はだいぶ険悪な仲だったような気がするが…

と話が一段楽したのか再び俺の方に戻ってきて…



「とまあ、とにかく戻ってきたんだよ♪」



「そ、そうか…にしても、その身長は…小さすぎだ」




俺がそう言うとさくらは少しすねた顔になりやがった。やっぱり気にはしているのか。

まあ、横にいる音夢も俺の意見には同意みたいだが…どう見たって小さいだろう。音夢の場合はさっきまでさくらかどうかすら

疑っていたぐらいみたいだからな。


「うぅぅぅぅ・・・ボクだって気にしているんだぞ〜〜別に好きでこんな姿でいるんじゃないやぁ〜〜〜」




「わ、分かった分かった。だがどう見ても…」



と言いかけたときに校内のチャイムが鳴り始めやがった。

俺のところの担任は暦先生だったはず。遅れるとまずい。


「おう。後で話はゆっくり聞いてやるから。とにかく今は教室だ。音夢っ!」



「あっ。うん。さくらちゃん、また後でね♪」




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だが、そういう日に限って面倒なことというものは連鎖的に起きるものだ…


さっき、廊下でさくらとの突然すぎる出会いをした俺にはほぼ一日どうするかしか頭に無いからなぁ…

いや、ないはずだったか?



「というわけで、今日。このクラスに転校することになった…」



「アイシアです。以後お見知りおきを。」



暦先生が入ってきて教えたこのクラスの転校生。小ささだけだとさくらと大して変わらないぞ。おい。




…だが、これが後に大きな意味を持って俺に降り注ぐとは…俺も思っているはずが無いんだよなぁ・・・