D.C. 二次創作
存在と記憶の先に
第二話 『過去と未来を紡ぐ魔法〜存在〜』
某年 北欧 某所
――世界は始まりと終わりを共有する
あるところで行われた話し合いがそれを象徴するかのように…
老人たちや老婆たち、あるいは若すぎる姿を維持しているものたちが集まり開かれた『ある会議』の場での出来事だ。
「世界は『終わり』を持って『始まり』とするべきときだ。」
「これはすべてにおいて通過儀式にしかすぎない。すべては終わりと始まりのための…」
まるでここにいるすべてがさながら詩人のように言葉を並べていくさまはある種、聞いている少女としては厳しいものがあるのかもしれない
…少女とはとてもいえないのかもしれないが…
「そのための…『計画』だ…忘れたわけではなかろう…」
「ええ。それはわかっているつもりです…だけど…いえ、なんでも。」
滅びの宿命は新生の喜びでもある…たとえそうだとして、彼女には彼らの考えが大半は理解しているつもりでも
それでも、同時にそれによって起きる事実に悲観的な立場をとっていた…いや、それすら、単に今までの己の人生を加味しての考えでしかないのかもしれない
「そのために『桜の木』が必要なのだ…すべては、我々の今までへの終わりと新たなる始まりのために…」
「…自分は納得できません。でも、納得しなくちゃいけないんでしょうね…」
世界はすべて、時の流れに浮かぶノアの箱舟のように…
それを連想した時に桜の木は手助けをする木々にも、同時にその天変地異そのものにすら思えて
彼女は思わずため息をつかずにはいられなかった。
「現時刻を持って我々、監視元老院は『偉大なる神々の暗闇計画』の始動を命令する」
終わりという名が、本当に始まりにつながるのかという一筋の疑問を持って…
2002年 春
初音島 音夢視点
帰り…下校とも言うんだけど…
私はなぜかアイシアと二人だけで帰っていた。
あの後、休み時間、昼休みとさくらと兄さんは何だけ楽しそうに追いかけっこしているし…
何か心からいらつくものはありましたが、まあ心のうちに抑えておきました…まあ、兄さんは逃げていましたし…
それで私がアイシアさんと帰っているのは…暦先生に面倒見るように言われたからで…
話を聞くと、さくらの家にアイシアも住むらしい。
住所を見た暦先生は最初兄さんに頼むつもりだったらしいけど
さくらと暦先生疑惑『攻防戦』をしていた兄さんにはさすがに語りかけられなかったらしく、私に白羽の矢が回ってきたわけです…
とりあえず、休み時間、昼休みと話しかけてある程度は知り合いって感じにはなれたのかな?
「ねえ、アイシアはなんで初音島に来たの?」
なんでだろう…まるで一度会ったかのような感じで私はアイシアに話しかけられた。
そして、アイシアもまあ、まるで私と話したことが何度もあるかのように返してくれた。
「そうですねぇ…しなければならないことがある。やらないといけないことがある…すべては『始まりと終わりのため』…でしょうか?」
その言葉の意味を私は理解できなかった。
ううん。多分、このときの私にはアイシアがいったい何を思ってここにいたかさえ知らなかった…
この後の不思議な事件が起きるまで。
時間は飛ぶ…
2056年 春
三人称文体
初音島周辺 米・欧州連合第一艦隊
「実験。全システム。異常なし。」
初音島周辺に浮かぶ艦隊。
新エンタープライズ級原子力空母『ジョージ・D・ブッシュ』を始め、ズムウォルト級イージス駆逐艦…さらには英海軍や伊海軍の駆逐艦や巡洋艦
最後に米軍第六艦隊旗艦改ワスプ級指揮強襲揚陸艦『マキン・アイランド』にいたるまでの全12隻の艦隊は
ある意味でこんな平凡な島周辺には合わないほどの緊迫した情勢をもって待機していた。
「ふむ…国連からの要請と米・日・欧の3連合とはいえ…護衛対象があの島の『さくら』か…」
国連…国際連合は2056年7月28日に国連提唱の『実験』開始のため、その護衛と称して米・欧の艦隊を護衛として派遣することを決定し
またその案もアメリカとヨーロッパ連合から提出されていたため即日行動となった。
一般的には第二次大戦時に米軍が落とした三つ目の核爆弾の不発弾回収という口実になっており
初音島および半径50キロメートルに住んでいた人々は既に範囲外に退避している。
いささか、偽善平和国家たる日本で行う実験に過敏だとも言われたが、ほぼごり押しに近い形で艦隊は待機していた。
また、日本国政府もこれに同調して海上自衛隊第一護衛隊群
(旗艦は米軍より買収したキティホーク級航空母艦『かつらぎ』以下、ながと級イージス巡洋護衛艦2、あたご級イージス駆逐護衛艦4、さざなみ級強襲輸送艦1)
が急遽、呉の方へと移送されることとなっていた。
「そうですねぇ…でも、ほら、危険性があるじゃないですか♪」
「なにが起きるか分からない…ということと理解してよろしいですかな?」
旗艦『マキン・アイランド』のブリッジでは急ぎながらも冷静に、計画が進められていた…
そして、その艦隊の長たる艦隊司令長官『アンドリル・オーブッド』中将は彼の横で実質的に指揮を取る…
国際連合統合安全維持理事会理事長…別名『監視元老院議会代表 御名 柚実』に対してそれほど好感は持っていない。
ただし、同時にいやな感じも持っていない。
指揮官として、命令に口を入れられるのは嫌いだが、最低でも話の分からない政治家ではない。
こちら側にもある程度の自由を渡すし、さらには政治家のように面倒なことをやらせるわけでもない。
「ええ。私たちは分かることだけでやっているわけには行きません
実際にデータは集め終わっているのですよ?そして我々監視元老院としても、統合安全維持理事会としてもこれ以上の延期は待てない…
延期のために一度桜の木は枯れてしまった。それは何とか作り直し、確かに一時的に枯れたが再び咲かせることに成功した…
後は終わりと始まりの扉をこじ開け、すべてを始まりと終わりの中に引きづり込むしかない。」
少し哲学風に言う彼女については事前に司令部より聞いていた。
聞いたときはバカらしいと思い、それが事実だと知って絶句した…
『彼ら…いや、彼女ら統合安全維持理事会、別名監視元老院は魔法使いで、そのすべてを構成し、戦後の統合政策を共に行ってきた人間たちだ』
アメリカ合衆国大統領自らの電話においてそれを聞いたとき、彼はその事実のあまり驚いたほどだ。
つまりだ。過去、ヨーロッパの魔女狩りの時代から彼らは存在し、歴史において不適格な魔法使いを消していっていたのだ。
第一次・第二次大戦もそれを繰り返したが、あまりの被害に元老院は驚き、戦争による違法魔法使いの取りしめを禁止。
変わりに国際連合を設立し、それを裏で支配することによって、世界の魔法使いに『監視者』を作り出し、威圧力としたのだ。
だが、次第に彼らの勢力が国連や主要国家には強力な力を持っても、監視者の人口低下が厳しくなってしまった。
混血も進み、彼らはこのままでは監視を続けることはできないと決定。ここに新しい方法による魔法管理を行うつもりらしいのだ。
「だが、これだけの軍を動かせば、その事実を知らない中国がうるさくないのか?」
「経済も事実上支配しているんです。彼らとて世界経済を裏で支配する存在にやすやす喧嘩を
吹っかけることは無理ですよ。さてと、そろそろ…」
計画を始めよう…そうした矢先であった。
いきなり旗艦、および各艦は警戒警報の音が鳴り響く…
「な、何事だっ!!」
旗艦にはこのたび、元老院より魔力測定や時空振動等のロストテクノロジーまでが寄与されていた。
その両方が一気に警報を鳴らしたのだ。
「時空振動多数確認っ!前方初音島周辺に異常な魔力反応…」
「桜の木の活性化を確認。魔力暴走の可能性が高いですっ!」
その機器は殆どが元老院が決定したクルー…魔法使いで構成されているがゆえに、彼らがそんなことを言っても驚くことなど無い。
ただ、初音島に起きた現象について単純に驚いているだけだ。
「各艦に戦闘態勢へ…」
「いえイージス艦以外には警戒態勢の必要は無いとお伝えください。危機感を仰ぐことはないでしょう…空母の芳乃さくら委員につないで。」
司令官としては聊か自分の指揮を否定されいらだったが、それも彼女の専門分野なら…と怒りを抑える。
こんなことで怒っていては合衆国海軍は勤まらない…と言ったところか。
「同時に時空振動のポイントをもっと細かく。イージス各艦に搭載したSM−5(艦隊空ミサイル)でそのポイントを叩く。
SM−5は対魔力中和弾頭に変更済みのはずだから。イージスシステムを起動させて。」
「各艦防空システム起動。イージス全艦イージスシステム起動。SM−5にて各艦指定ポイントに対して攻撃用意しろッ!」
こういうときは、冷静な柚実よりも司令の方が勢いがあり、直ちに各艦はミサイル迎撃体制に入っていた。
「ポイント確認…数は最低35から45。ただし一部ポイントに異様な時空間変動を確認。」
「柚実理事。空母『ジョージ・D・ブッシュ』より芳乃さくら委員です。」
命令どおりにすべて進みつつあった…だが、通信に出たさくらは少し息が浅かった。
『ポイントDー58への攻撃はやめてっ!ボクの知り合いがいるんだっ!』
「知り合い…?確か、現在初音島の住民はすべて…」
すべて撤退しているはず…と続けようとしたが、続けて放たれたさくらの言葉は十分に柚実に攻撃をためらわせることに成功した。
『…アイシアだよ…どうやら、元老院ほどの魔力を持つ人材が多く集まりすぎて、この地域の魔力値が増大したから暴走を始めつつあるんだ…』
「アイシア…ですって…魔力を集めすぎて『戻ってきて』は意味が…とにかく、そのポイントへの攻撃だけを停止して全ミサイル発射開始。
同時に各地域から私が呼んでいた元老院委員に召集を停止。
各地に散らばるように再度要請を。魔法の桜の木の暴走のことも含めてね。」
命令とほぼ同時であった。
各イージス艦のフェイズ・ド・アレイ・レーダーが確認…時空振動によってレーダー波が曲げられて誘導が可能…によって
各艦誘導にてスタンダード・ミサイルが全艦誘導できる本数発射された。
すべて、対魔法中和弾頭搭載の魔法科学の結晶である。
発射されたミサイルはすべて誘導どおり、空間振動部分に命中…青く目に優しくもあり厳しい閃光と共に消失していく…
「時空振動徐々に消失。および魔法暴走も沈静化…なんとかなりそうですね…」
「そうだね…芳乃さん。そっちのヘリでそのポイントへ向かって彼女を回収。そこも封印します。」
2056年の世界は、波乱と共に多くの思惑が交差しつつあった…
後書き
まず『ちょっとどういうことかな?』と言う方。それが小説中身の意見でなければメールを、上の題名近くの名前をクリックで送れます(笑)
で、小説なんですが…まあ、あれです。
仮想戦記風になっていますが、相互の干渉することを定義しました。
そこでダ・カーポTの世界とUの後日世界の干渉の相互干渉です。
前回はTなので、今回はと次回はUメインです。ただし、Uはだいぶ改変されています…すごいまでの改変です。というか自分の趣味丸出しです(笑)
まさしく、北欧神話に影響された自分らしく、またキリスト教にも影響された自分らしいw
魔女狩りに関して独特の考えで書いて見ました。自作自演…いかがですか?(あらゆる意味を込めてw
なお、約50年後なので艦名は存在しないものが多いですが、意外と未来を意識した艦を用意しました。
まあ、そっちに趣味がある方はニヤリとしてくださいw